がん治療を行う際、実際にはがんを取り除くだけでなく、リンパ浮腫の治療が必要になることが少なくありません。
ではどうしてリンパ浮腫を治療しなければならなくなってしまうのでしょうか。
浮腫を起こすことなく治療を進めることはでるのでしょうか。
まずはリンパの役割を知ろう
人間の体の中には血管や神経が走っていることはよく知られていますが、もう一つ走っているものがあります。
それがリンパと呼ばれる管で、全身の皮膚の下に網目状に張り巡らされているのが大きな特徴です。
この管の中には血管に血液が流れているのと同じように、リンパ液と呼ばれる液体が流れています。
リンパ液自体はただ単に流れているわけではなく、それを利用してタンパクや白血球を運ぶ役割を担っています。
また、脇、首の付け根、足の付け根などにはリンパ節があり、その部位があることによって全身にがんなどが広がってしまうことを抑える働きがあります。
なぜリンパ浮腫が起きてしまうのか
がんを治療する際、放射線治療や手術などを利用してがんを小さくしたり取り除いたりする必要が出てきます。
しかし、放射線治療でリンパの流れを停滞させてしまったり、外科的な手術でリンパ節を取り除いてしまったりすると、リンパの流れが通常の状態に比べてかなり悪くなってしまいます。
そのため、リンパ液がスムーズに流れなくなってしまうため、結果的に腕や足などがむくんでしまう症状が出てくることがあるのです。
これをリンパ浮腫と呼び、がん治療の後遺症の一つだということができます。
ただ、リンパ浮腫自体はがん治療を行ったら全員が発症するというわけではないし、発症するタイミングも人によって違います。
だから、手術直後から照応が出てくるとは限らず、人によっては手術から数年経過してから発送するということもあるほどです。
とはいえ、リンパ浮腫自体は放置しておけば自然に治っていくというものではありません。
実際には一度発症してしまうとなかなか治りづらいという特徴があるものだからです。
とはいえ、重症化しなければ特別な治療を行う必要はあまりなく、日常生活において食事や運動などに気をつけるなど自己管理を正しく行うことによって、通常の生活も十分送ることができるようになります。
ただ重症化してしまうと日常生活に大いに支障をきたしてしまう可能性が出てくるため、発症した際は放置して様子を見るのではなく、早い段階で正しい治療を始める必要が出てきます。
実際に行われているリンパ浮腫治療
リンパ浮腫かどうかは分からなくても、体に気になる浮腫が出てきた時はなるべく早い段階で担当医に診てもらうようにします。
そしてリンパ浮腫だと判断された場合は、浮腫を改善すること、さらに悪化を防ぐことを念頭に置いた治療がなされます。
また、日常生活でも重症化を防ぐための工夫が必要となり食事制限や運動などにも留意した生活を送ることになります。
病院の方では用手的リンパドレナージという医療用のマッサージや、圧迫療法、さらに着衣圧なども行われています。
ただし、これらの方法自体は全ての場合に行う必要があるわけではなく、無理に行ってしまうのは避けなければなりません。
したがって、専門医にしっかりとアドバイスを聞き、無理のない範囲で行わなければならないのです。
無理しながら行ってしまうと状況が悪化してしまう可能性も出てくるので注意する必要があります。
リンパ浮腫は、がん治療の際にリンパ節を切除してしまったり、放射線治療によってリンパの流れが滞ってしまったりすることによって発症するものです。
全ての人が発症するわけではありませんが、一度発症したら治りにくいため予防を心がけることは重要になってきます。
また、発症してしまった場合はそのまま放置するとより一層状態が悪化してむくんでしまうだけでなく、痺れや痛みなどを併発することもあるので注意が必要です。
まずは放置しないこと、さらに症状が出てきた場合は病院に相談しに行くようにしましょう。
一般的には圧迫療法などが行われていますが、日常的には食事制限や運動療法などが医師の指導の下で行われている状態です。
また、がん治療の後遺症のためにリンパ浮腫が発症している場合はリンパ浮腫治療が最優先で行われますが、がんの再発や転移が原因で引き起こされているリンパ浮腫の場合は、まずはがんの治療を先に行い、その後医師と相談しながら浮腫の治療を行うという形がとられています。
がん治療を行うと必ずしもリンパ浮腫が起きてしまうというわけではありませんが、起きる可能性があるので、まずはどのような症状なのか、さらにどういう対処をすべきかということを知っておく必要があります。
また適当に圧迫してしまうと症状が悪化する可能性もあるので、必ず医師の指導の下で行うようにしてください。